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【でか!と言わせる】すももになる3つの摘果のコツ

すももの摘果のし始め

今、すももの摘果でお困りのあなた。
「大きいすももの実をたくさん実らせたい!」って思ったことありません?

大きい実になったら、暑い夏の時期、遊びにきたお孫さんとかに
「おじいちゃんのすもも、おっきい!すごい!」
って言われたいじゃないですか?

「でも、大きくさせるって出来るのかな?」って疑問に思うかもしれません。
実はこれ、とっても単純なことなんです。
誰でもすぐに実践できるんですね。

今回の内容をご覧いただくことで、大きい実を作れて、まわりから一目置かれる存在になります。
なかなか、大きな実が出来ないというあなたにとって、参考になれば幸いです。

話の流れとしては、

  • 前半:大きいすももの実をつくる3つのコツ
  • 後半:間違いの無いすももの摘果の戦略

をお伝えします。

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目次

大きい実をたくさん成らせる、すももの摘果3つのコツ

  • 摘果は一回のみ
  • 満開日から50日以内に
  • 実の間隔は15cm

ひとつずつ、細かく説明していきます。

摘果は一回のみ

もうほんとこれです。
一回で終わらせてしまいましょう。
これが、すももの実を大きくさせるコツのひとつです。

Q.一回でってことは本来は何回かに分けるの?

本来、すももの摘果は2回にわけます。

  • 予備摘果
  • 本摘果

本摘果後に見直し摘果っていって、最後にやったりもしますが、
基本はこの2種類です。

Q.予備摘果って?

実が大豆くらいの大きさのときに5cm間隔ぐらいで実を残します。
これが最終的に残す量の2倍ぐらいと覚えておいてください。

Q.本摘果は?

ピンポン玉ぐらいの大きさのときに10cm間隔ぐらいで実を残します。
これで摘果が終わりです。

摘果は一回のみというのは、
この2つにわけている摘果を、最初から本摘果でやってしまいましょうということです。


Q.なんで一回だけにするの?

まず、摘果の目的がわかってると理解しやすいので、目的をお伝えします。
なんのために摘果をするかというと、なるべく1個あたりの実に栄養をたくさん使わせたいからです。

Q.摘果の目的って?

どういうことかというと、
まず、木に栄養が100あるとします。

実が100個あったら、
実1個あたりにつかえる栄養は1です。

これが、摘果によって実を100個から25個に減らしたらどうです?

実1個あたりにつかえる栄養は4です。

栄養がその分、実の肥大などにつかえるわけです。
1のときよりも4のほうが大きくなりますよね。

これが摘果の目的です。

もっと詳しく

ここから、なんで1回だけの摘果にするかの本質なんですが、
2回分けたときだと、
1回目の予備摘果のときには最終的に残す量の2倍の実がついています。

かたや、
1回で終わらせる場合だと、
1回目の摘果のときにはもう、最終的に残す量になっています。

栄養が100あるとすると、
2回わけたほうよりも、1回のみのほうが、
すももの実1個あたりが使える栄養は倍です。

つまり、1回のみのほうが実を大きくさせるのに
栄養をたくさん使えるんです。

これが、摘果一回にすることで、大きな実を成らせる理由です。


Q.そうは言っても、一気に落とすとリスクはないの?

あります。

  • 強風によるキズ、落下、害虫のリスク
  • 生理落下するリスク

強風によるキズ、落下、害虫のリスク

早い段階で、もうそれしか無い実なので、収穫までの期間に強風がふいたらキズものになります。
落ちることもあります。虫に食べられることもあります。

生理落下するリスク

6月にジューンドロップ(生理落下)が起きたりします。
大きい実が黄色くなって落ちてしまうんですね。

Q.なんで起きるの?

枝が伸びる方に栄養をたくさん使っちゃって、実のためにつかう栄養が少なくなると
発育が悪くなって落ちます。

ちょうど6月ごろが、新梢(新しい枝)が伸びやすい時期なんで、
そういう現象が起きちゃいます。

実が大きくなるのは3つの段階があるんですけど、この話はあとでします。

あと補足して、

  • 樹勢が強くなるリスク
  • 核割れのリスク

も考えられますが、すももの木は逆に落ち着きやすいので
ほとんど視野にいれなくて大丈夫です。
桃みたいに暴れん坊では無いので。


Q.樹勢が強くなるとなんでいけないの?

先ほどにも関連しますが、生理落下が起きやすくなります。
また、栄養を実に使うよりも、自分の体を伸ばすほうに使います。

結果、玉が張らない。大きく成らないということです。

Q.核割れって?

実の中の種を作ろうとしているときに、果肉が一気に成長しちゃって、
種が割れちゃう現象。
なんでいけないか?っていうと、中が空洞になってカビが生えたりします。

摘果は一回のみ。のまとめ

なんで摘果は一回のみなのか?
理由は、
1個あたりの実に、たくさん栄養を使って大きくするため。

でした。

続いて2つ目です。

すももの摘果をしている男性

満開日から50日以内に

すもものほとんどの品種は、この期限以降に最後の肥大期に入るんですね。
なのでこの時期までに摘果を終わらせることが、大きい実をつくるコツになります。

Q.最後の肥大期ってどういうこと?

すももの実が大きくなる過程は3つの段階があります。

  • 細胞の数が増える時期
  • 種がしっかりできる時期
  • 細胞が大きくなる時期

この3つのうち、目に見えて実が大きくなるのが確認できるのが、
最初の・細胞の数が増える時期と
最後の・細胞が大きくなる時期ですね。
2回大きくなります

逆に言うと、種がしっかりできる時期っていうのは、そこまで大きくなりません。
この真ん中のステージのことを硬核期(こうかくき)って言いまして、
この時期より前までに摘果が大体になっていれば、
最後の・細胞が大きくなる時期に間に合います。

もっとわかりやすくいうと、

すもものほとんどの品種は
花が咲いてから50日くらいまでが、細胞の数が増える時期なんです。
最初に実が大きくなる時期ですね。
それ以降に
種がしっかりできる時期(硬核期)があって、
そして、細胞が大きくなる時期、また実が大きくなる時期がありますので、
間に合うように実を落としましょう。ということです。

あとちょっと補足として、50日以内っていうのも他の理由もあります。
それが何かっていうと、
硬核期の摘果はあまりおすすめしないってことなんです。


Q.なんで硬核期は摘果NG?

核割れしやすい時期なんです。
先ほども言いましたが、すももはあまり気にしないとは言ったものの、
やはりちょっとはあるんですね。
そういう意味もあって満開日から50日以内に摘果しましょう。

Q.大石早生とか満開後50日とか遅く無い?

そのとおりでして、
早生品種は30~40日以内がいいと思います。
話の後半でもお伝えする、すももの摘果の戦略で詳しくお話しします。

満開日から50日以内に。のまとめ

ふりかえっておくと、
なんで満開日から50日以内になのか?
理由は、
実が大きくなる最後の時期に
間に合うようにするため。

でした。

続いて3つめです。

ラジオを聴きながら、すももの摘果

実の間隔は15cm

これくらい空けておけば間違い無いです。
とくに大石やソルダムといった中玉品種こそ、広くあけたほうが大玉になります。

Q.なんで間隔を広くあけると大玉になるの?

例えば10センチ間隔で実を残すのと、15センチ間隔で実を残すのでは、
木全体の実の数は、15センチ間隔のほうが少なくなります。
つまり、その分一個あたりに栄養が使えるので大玉になるということです。

Q.でもさっき、摘果の種類のところで

予備摘果は5センチ、本摘果は10センチって言ってなかったっけ?

確かに。教科書としてはそうなんですが、僕のこれまでの経験からいうと、
15センチぐらいは欲しいです。
10センチだとちょっと足りないです。

もちろん、注意しておきたいのは、
この15センチ間隔というのは、木全体にしっかりと実がついている場合です。
仮に、実がついてる枝とついていない枝が確認できたり、
ちょこちょこ空白がある場合は、
10センチ間隔をおすすめします。


Q.なんで?

10センチ間隔のほうが15センチ間隔よりも、木全体の実の数は多いですよね。
実がついていない枝の分や、空白がある分の実をカウントする意味で、10センチ間隔で残した方がいいと思います。

これはどういうことか?というと、
残したい実の数っていうのは、木全体の葉っぱの数に合わせたいってことなんですね。

実がついていない枝の分や、空白があるところには、
実がついていないだけで葉っぱはあります。

その葉っぱがある分、実を他のところで養っておけるってことです。

Q.具体的な葉っぱの枚数ってあるの?

すもも一個に対して、葉っぱ20枚くらいが目安とされています。
でも葉っぱの枚数なんて数えてられないですよね。
だから間隔、距離で考えます。


Q.すももの品種でも大きいのと小さいのがあるけど、間隔は一緒でいいの?

シンプルに言うと、15センチでいいです。

教科書では、小さい品種は間隔狭め(8~10cm)で大きい品種は広め(10~12cm)と
言われています。
すもも特有の短果枝ばかりの枝については、
小さめは4芽に一個のこす 大きめは10cmで一個のこすとされていますが、
もっとシンプルにできないかな?と考えて、僕は15センチでやっています。

実の間隔は15cmに。のまとめ

ふりかえっておくと、
なんで実の間隔は15cmなのか?
理由は、
1個あたりに栄養が使えるので大玉になるから
でした。

すももの本摘果の目安

補足というより、僕のやってること

先ほど、小さい品種は間隔狭め、大きい品種は間隔広めっていいましたよね?
大きな実をたくさんという意味ではその通りなんですが、
僕は逆でやっています。

Q.どういうこと?

小さい品種は間隔広めで、大きい品種は間隔狭めでやってます。

なんでそんなことやってるか?っていうと
小さい品種は間隔広めで摘果しないと、大きな実にならないんですね。

だけど、大きい品種って、間隔狭めであってもそれなりに大きな実になるんです。
この大きさが、僕にとってちょうど売りやすい大きさなんですね。

Q.なんで売りやすいの?

  • 食べ切りやすい
  • 価格を安く提供できる

食べ切りやすい

大きな実だと、ちょっと食べ応えがありすぎるんですね。
基本、くだものをご購入されるお客様ってご年配のかたが多いので、
「大きいのはちょっと…」って嫌煙されます。

それよりは、一個を食べ切れるぐらいの大きさなら、その分満足度もあがるんですね。

価格を安く提供できる

たとえば、100gを100円で販売するじゃないですか?

このとき、大きいすももが300gだったら、このすももは一個300円ですよね。
いっぽうちょっと小ぶりで150gだったら、このすももは一個150円です。

買いやすい面で考えると、価格が安い150円です。
小ぶりなすももですね。

この小ぶりなすももを2つ実らせたほうが、1つ実らせるよりも売りやすいし、売上は一緒になります。
まぁ、これが理想なんですが、実際には2つも実らせることはちょっと厳しいですけどね。1.5個分くらいかもしれません。

あと一個が高すぎると、お取引側でもお客さまに売りにくいんですね。
やっぱ売りやすい価格帯がありますんで、それに合わせて提供しています。

以前お話しした、農家の「おいしいものをつくれば売れる」はウソでも言った通り、
価値は相手が決めますので、相手の価値に合わせて納品させてもらってます。

以上、補足でした。
これで前半の内容、大きいすももの実をつくるコツは終わりです。

すももの摘果の戦略について

みなさん、前半でコツはわかったじゃないですか?
大きいすももをたくさん実らせる原理、本質に触れてきましたが、
ここからは、「どう、すももの摘果を進めていくのか?」についてです。

この本題をチャプターでわけました。

  • どの品種から摘果していくのか?
  • どうやって残す実の間隔をはかるのか?
  • 落とす実の優先順位は?
  • 実の大きさをそろえるためには?

どの品種から摘果していくのか?

結論としては、収穫できる順に摘果していく。
つまり早生の品種(大石早生)からスタートです。
僕の場合ですと、大石早生、早生ソル、ソルダム、菅野中生、サマーエンジェル、太陽です。

Q.貴陽はどうする?

貴陽は実がなりにくい品種なんで、摘果しないでもちょうどよかったりします。
一番最後に、見直し摘果としてちょっとやる程度です。


どうやって残す実の間隔をはかるのか?

そもそもですが、実の間隔はどこからどこまでを指すのか?というと、
軸の付け根から軸の付け根までです。
実から実では無いです。

そこを踏まえた上で、どうやって測るのかというと、
予備摘果の場合は、指が3本分で5センチ
本摘果の場合は、握りこぶし一つで10センチが目安です。

僕の場合、15センチなんで、
にぎりこぶし+親指をつきだしたぐらい。
これで測っていきます。

もちろん、慣れてくるともう目検討でわかりますが、
ときどき確かめるためにも、覚えておくといいと思います。


落とす実の優先順位は?

  • 虫にたべられている実(→問答無用)
  • 虫が入っている実(→問答無用)
  • 実の軸元に葉っぱが無い実(→すももにはなる)
  • キズがついている実(→B品として可能)
  • 上向きの実(→日焼けしなければOK)

優先して落とすのは、1つ目、2つ目の虫の被害果。
まだ残せるかな?っていうのは5番目です。

実の大きさをそろえるためには?

立木に関してですが、
木の高いところに多く、木の低いところは少なく残します。

木の中段が標準とすると、木の上段は1割増し、下段は1割減。

Q.なんでそうやって、数を変えるの?

上の方が日光が当たりやすいんで実も大きくなりやすいんですね。

すももの本摘果の大きさ

終わりに

いかがでしたか?

今回は大きい実をたくさん成らせるための摘果という内容でしたが、
大きい実をたくさん成らせるのは、摘果以外の作業も影響してきます。

剪定だったり、肥料だったり。

なので、くだもの栽培なので、一年の作業はすべてつながっています。
すべての作業において、「大きい実をたくさんならせるにはどうしたらいいのか?」について
意識していくことが重要だと思います。

こんな感じで、農業にプラスになりそうなことをコンテンツにしています。
参考になりましたら幸いです。

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ご覧いただきまして、ありがとうございました。

written by 農業、始める

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