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有機農業が日本で普及しない1つの理由

有機農業が日本で普及しない1つの理由1

有機農業、やってます?

「有機農業、やってるけどなかなか生活できるレベルじゃない…」
「使える農薬が限られてて、これじゃ限界がある!」
ってたりしませんか?

自分もナスを栽培してたとき、有機でやってみよう!と思ってトライしてみましたけど、
肝心な農薬に制限がかかるわけで、「これ、かなりロスがでそう…」って直感的に思っちゃったんですね。

で、ふと気づいたんですね。
スーパーで有機野菜ってあまり見かけませんよね?
見かけても、ナス一袋148円が、有機のは298円だったりと高めですよね。

これ、僕なりに考えてみました。

ですので、今回の内容を聞いていただくことで、
なぜ日本で有機農業が普及していないのか?の一つの側面を知ることができ、
ここを理解することで、これから有機農業を志す人にとって何かしら参考になるかと思います。

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結論

シンプルにこれです。

  • 気候が向いてない

世界的にみても、日本は有機農業に適した気候ではないからです。

理由

なんでそう考えるかというと、
日本はとても水が豊かな国ですよね。
毎年、水不足に悩まされてることなんてないじゃないですか。

一方で、海外は常日頃、水不足に悩まされてる国が多い。
基本的に空気が乾燥してます。

どう関係するの?

ここまで聞いて、
「それとどう、有機農業に適してるか適してないかが関係してるの?」
って思われるかもしれませんが、
湿潤だと病気が発生しやすいです。
灰色カビ病とかうどんこ病とか、野菜とか出ますよね。

病気が発生したら、それは商品価値が無くなってしまうので、
だから農薬を散布して防いでるわけです。

一方で、空気が乾燥してると病気が出にくいです。
なので、農薬にあまり頼らなくても大丈夫。

現実的には?

ならば、どうすべきか?
耕種的防除をしていくことが大事になる。

具体的には、

  • 病気の葉を見つけ次第、除去
  • 風通し良く葉を整理
  • 雨よけ環境をつくる

人の手でひとつひとつ丁寧に世話をしていかなきゃ、
ならなくなります。

有機農業が日本で普及しない1つの理由2

価格に反映

となると、手間が増え、労力が増えるわけです。
そして、ようやく収穫できた野菜。
普通のそのへんの野菜と同じ値段にできません。

結果、高くなります。
そして、普段のスーパーに並んだとき、
他の野菜よりも2倍近く高値で売られます。

例えば

そうなるとあなた目線で考えてもらいたいんですが、
タバコを吸われてる方、
一箱400円の普通のタバコと
一箱800円の有機栽培されたタバコ
どっちを繰り返し買いますか?

コンビニのお弁当で、
1つ500円のお弁当と
1つ1000円の有機栽培されたものが使用されたお弁当
どっちを繰り返し買いますか?

高く感じちゃう

わかりやすい例としてなんで実際にはそんなにしないと思いますが、
有機野菜がスーパーに並んだときって
「うわっ、高いな」って気持ちが出てきますよね。
「安いほうでいっか」ってなりますよね。

だから、有機野菜が売れない。
小売店もあまり仕入れたくない。
どこに行くか?
有機農産物を取り扱ってる店舗に行くわけです。

有機農産物の市場規模は小さい

ここまで聞いて、
「そもそも、有機野菜を買う人は、普通のスーパーで買わないよ」
「直接農家さんから買ったりするし、買いたい人もいるから需要はあるよ」
確かにそのとおりです。
ただ、市場規模で見ると、

  • 有機農産物:1,850億円
  • 一般の農産物:51.2兆円

圧倒的に小さいです。

有機野菜が欲しいという需要は、確実にあります。
けど、それが一般家庭に普及していません。
つまり、日本では有機農産物が普及していないんですね。

ふりかえり

いったん、話をまとめますと、
有機農業が日本で普及しない1つの理由
日本が有機農業に適さない気候だから
そのため、労力がかかり価格が高くなり買いにくくなっているんですね。

有機農業が日本で普及しない1つの理由3

海外ですももを買ったときのこと

ここまで聞いて、
「でも海外では有機農産物、普及してるっていうよね?意識の問題じゃない?」
「有機に理解が増えることが大事だ」
って思われるかもしれません。

ただ、僕が過去に日本の農業生産法人の経営者の方たちと
ニュージーランドへ同行させていただいたことがありまして、
そこのスーパーで売られていたすももに衝撃を受けたんですね。

円換算で1パック500円ぐらいで売られてたプラムなんですが、
「organic」って買いてあったんです。
「果樹で有機でしかも500円?」って驚きまして、
もちろん買いました。

食べてみたら、もう普通に美味しい。
普通のスーパーで、有機栽培された農産物が普通の価格で売られていることに
びっくりしました。

とある農業経営者の一言

このことを、近くにいた経営者のかたに伝えたら、一言こう言いました。
「海外は乾燥してるから有機でも作りやすいんだよ。」

作りやすいから、価格も普通レベルで提供できる。
だから普通のスーパーでも売られてる。
有機農産物が広まっている。
ってことなんだと、そのとき理解しました。

有機に対する意識や理解以上に、やはり価格が大きいです。

有機農業が日本で普及しない1つの理由4

有機農業が進んでるキューバについて

ここまで聞いて、
「温暖なキューバとかどうなの?有機農産物で広まってるんでしょ?」
「湿潤でも有機農業が普及してるなら日本でもいけるでしょ?」
って思われるかもしれません。

確かに、アメリカから経済制裁を受けて、自国で栽培しなきゃならないってなって
有機農業が普及したってよく聞きますよね。

あれは実際には嘘だったことが報告されてます。

間違った報道

西尾さんっていう、農水省出身で、筑波大学教授など歴任された、土壌や有機に詳しい方がいらっしゃいまして、
その方の記事を引用させていただくと、

同じ誤った記述を日本で最初に本で刊行したのが,当時東京都の職員であった吉田太郎であった(吉田太郎(2002) 『有機農業が国を変えた:小さなキューバの大きな実験』(251p.コモンズ)であった。この本も,有機農業だけで世界の食料を供給できるという誤った夢を与えた。その後,吉田は,キューバが有機農業で食料を100%自給していると記したのは誤りであったことを書いている(吉田太郎.2010.『地球を救う新世紀農業』.185p.筑摩書房)。

だから、キューバが有機農業で成り立ってたっていうのは嘘で、
実際のところ、食料輸入もめっちゃしてたし、窒素化成肥料も1966年から製造してて、2003年からは、化成肥料の輸出も行なっていたと。

化学農薬に関して、「殺菌剤は、病気が発生した際、生産を維持することが目的であるため化学合成殺菌剤を使用する、したがって(一般的な有機農業基準を)クリヤーしていない。

西尾道徳の環境保全型農業レポート

再び日本で有機農業だけで世界の食料不足が解決できるといった誤解が復活しないことを望む。

かなりの忠告ですよね。
やはり温暖な地域での有機農業は、難しそうです。

まとめ

ざっくりなまとめになりますが、
日本で有機農業が広まらないのは、栽培が大変だから。
だから、価格が高い
そして、もう一方で栽培する人が増えないわけです。

むしろ、有機農業って難しくて当たり前だと思いますし、
その中でも有機農業で専業農家の方は、本当にすごい!って思います。

終わりに

いかがでしたか?
もちろんですけど、有機農産物の市場規模はかなり少なくても需要はあるわけでして、
そんなコアな需要だからこそ、結びつきが強くて、市場価格に左右されない農業が
できてると思ってます。

こんな感じで、農業にプラスになりそうなことをコンテンツにしています。
あなたにとって、僕のこれまでの学びや経験、考えが参考になれば幸いです。
参考になりましたら、記事の購読をお願いします

それではまた別のコンテンツでお会いしましょう。
終わります。 

【参照元】

「もっと、農業に夢中になっちゃおう。」
みなさんに、もっと、農業に夢中になっていただきたい想いで、
いろんな農業に関する情報発信をしています。
【ゆびあぐり】のSNS一覧
https://lit.link/yubiagri

ご覧いただきまして、ありがとうございました。

written by 農業、始める

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