草だらけにしたほうが、たくさん収穫できちゃう現実。
「くだもの、桃をたくさん収穫したいけど、なかなかたくさんとれない」
「糖度を高くするにはどうしたらいいんだろう?」 って悩んだことありませんか?
実はあなたの畑を草だらけにするだけで、翌年からすぐに効果があらわれるんです。
ですので、 今回の内容を聞いていただくことで、たくさんくだものを収穫できて、
なおかつ糖度も高いので、お客様に喜んでいただけるようになり、
結果としてあなたのリピーター、ファンが増え、幸せな農業ライフを送れるようになります。
話の流れとしては、 草だらけにしたときの
- 収量が増える理由
- 糖度が上がる理由(+条件付き)
- 生産期間が長くなる理由
をそれぞれお話ししてから、
最後に
- 「草だらけにするのはちょっと…」
- 「栄養とられちゃうでしょ?だからイヤ」
って方の背中を後押しする事例を紹介していきます。
それでは早速、本題に入りましょう。
目次
収量が増える理由
草だらけにしたほうが収量が増える理由は、
畑の微生物が活発になる環境になったからです。
山梨県果樹試験場のモモ園の長期にわたる牛ふん堆肥施用や草生栽培における樹体生育と総収量 によると、
清耕栽培よりも草生栽培のほうが、総収量が上がります。(2011kg→2318kg)
具体的には、
- 土壌は、牛ふん堆肥施用や草生栽培により、全炭素含有率や孔隙率が高く、乾燥比重は低くなり、膨軟になります。なお、硝酸化成能(硝酸態窒素の発現速度 ※硝酸化成菌によりアンモニアが硝酸に変わる速度を示し、土壌中の微生物活性を表す指標となる)は増加し、硝酸化成菌の活動が高まると考えられます。
- 根域は、太さ 5mm 以下の細根の伸長が良好になり、深さ 30~60cm の深層部にも十分に根が伸長し、合計根量は増加します。
- 地上部の乾物重量は増加し、樹齢 20 年生時においても、新梢および葉が多く、樹冠面積(葉っぱが生い茂ってる部分)が広く維持されます。
- 初結実~樹齢 20 年生間の総収量は増加します。
つまりは畑の土に有機物が増えて、適度な隙間があるおかげで水分バランスがよくなって、根っこが伸びやすい環境になったということです。
微生物も活動が良くなりました。
ここから、いかに土づくりが大切かってことがわかります。
つまりは畑の微生物が活動しやすい環境をつくるのが大事ということです。
以上が収量が増える理由でした。
糖度が上がる理由(+条件付き)
次に、草だらけにしたときの
**糖度が上がる理由(+条件付き)**です。
結論としては、
作物に窒素が少ないからです。
どういうことでしょうか?
雑草が畑の窒素を吸収してくれることで、ほどよく桃の木に行きません。
よく雑草が肥料成分を横取りしちゃうから、雑草はダメだって 言われたりしませんか? 逆にほどよい緩衝材になってくれてます。
+条件付き
あと+条件付きっていうのは
6月に追肥をしないことです。
だから、木がそこまで窒素を取り込まないから糖度があまくなるというわけです。
和歌山農総セの、草生栽培と無追肥を組み合わせたモモ「白鳳」の高糖度栽培 によると、
桃で、草生栽培+無追肥(6月)にすると糖度があがります。
ここまできいて、
「なんで窒素を取り込まない、木に窒素が少ないと糖度があがるの?」
と思うかもしれません。
それは、果実の窒素含有率は糖度と負の相関が認められるからです。
つまり、
窒素が少なければ糖度は高い。
窒素が多いと糖度は低い
ということです。
効果はどれくらいで出てくるのでしょうか?
草生栽培で無追肥とした区は、処理開始1年目から果実の窒素含有率が低く推移し、果実糖度も安定して高くなります。
具体的には、
- 処理開始3年目に施肥区との間に有意な差が認められました。
- 処理5年目には、草生栽培で無追肥とした区の果実糖度は、施肥区よりも約2度高くなりました。
つまり、草生栽培で無追肥とすることで、短期的にも長期的にも糖度が上昇することがわかります。
ただし
ただ、ひとつアドバイスとしては
草生栽培であっても雑草よりは、バフィアグラスを用いた草生栽培にしたほうがいいです。
なぜなら、
- バフィアグラスは、雑草よりも窒素吸収量が大きいので、作物に窒素が行きすぎないように調整してくれます。
- バフィアグラスは、冬季に枯れて土に還元されるので、有機物を供給してくれます。
- バフィアグラスは、地表面を覆って水分蒸発を抑えるので、乾燥に強いです。
バフィアグラスを用いた草生栽培により晩生種の高糖度化に有効であったとの報告もあります。
生産期間が長くなる理由
結論としては、
樹勢が維持されるからです。
山梨県の、長期草生栽培によるモモ園の土壌有機物蓄積と果実生産期間の延長 によると、果実生産期間は清耕栽培よりも延長されます。
具体的には、
草生栽培園では、樹齢20年を超えても収量が安定しています。
- 清耕栽培園では、樹齢15年を過ぎると収量が減少しています。
- 草生栽培園では、樹齢20年時点で累計収量が清耕栽培園よりも約1.5倍になっています。
理由
なぜなら、
- 草生栽培園では、刈草による有機物供給量が牛ふん堆肥に換算するとおよそ 700~ 1,200kg/10a に相当します。
- これにより、土壌の全炭素含有率や孔隙率が高くなり、水分保持能力や通気性が向上します(表1)。
- また、土壌の硝酸化成能や微生物量も増加し、土壌の肥沃度が高まります(表1)。
- これらの効果により、草生栽培園では成木後期も比較的収量を維持し、樹勢も維持されます(図2)。
つまりは草生栽培で土壌の健康を保つことで、桃の木の寿命を延ばすことができるということです。
以上が生産期間が長くなる理由でした。
まとめ
ここまで聞いて、
「でもやっぱ草だらけにすると、栄養を雑草に取られちゃうし」
「畑を草だらけにするのは抵抗が…」
ってあなたは思うかもしれません。
「うちの90の親父が、雑草ひとつはやさせてくれない」とかね。
これ、さきほどもお伝えしましたが確かに肥料が吸収されちゃいます。 ただ
これも事例が発表されてまして、さきほど3つめの山梨の研究機関でのお話しです。
草生栽培園の桃の樹体生育は、
- 幼木期(樹齢1~6年)まではやや劣ります。その後は清耕栽培園と同程度まで回復します。
- 成木後期(樹齢 13 年以降)でも草生栽培園では 樹勢が維持されます。
つまりは幼木期だけしっかりと管理してあげればいいわけです。
ゆくゆく回復していきますので。
じゃあ、幼木期のときはどうしたらいいの?
樹幹周辺部は清耕栽培またはマルチを使用することです。
なぜなら、
- 幼木時は、雑草と養水分競合が生じ、果実品質や樹勢に影響するためです。
草生栽培、おすすめです。
終わりに
いかがでしたか?
今回は、草だらけにしたほうが収量が上がる件についてお話ししました。
こんな感じで、農業にプラスになりそうなことをコンテンツにしています。
参考になりましたら幸いです。
【参照元】
「もっと、農業に夢中になっちゃおう。」
みなさんに、もっと、農業に夢中になっていただきたい想いで、
いろんな農業に関する情報発信をしています。
【ゆびあぐり】のSNS一覧
https://lit.link/yubiagri
ご覧いただきまして、ありがとうございました。
written by 農業、始める