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農業は家族経営が最強なワケ

農業は家族経営が最強なワケ1

家族経営の農業って?

「実家の農業を継いで、家族経営してるけど、なんかうまくいってない」
「親元就農してるけど、会社みたいに人を雇って農業したほうがいいかな?」
って思ったことありません?

ちょっと、待ってください。
今あなたの置かれている環境が、いかに恵まれているかわかってますか?
僕はゼロから農業した身なので、どれだけ農家のせがれが恵まれているのか
とても身に染みて感じてます。
むしろ、農家のせがれが「うまく出来ないんだよなー」って言ってるのを見ると、
「なんでその環境で出来ないの?なんで!?」って叫びたくなります。

農家のせがれは恵まれてる

今でこそ、15年近く農業やってきて、途中から一緒に働いてくれるスタッフと一緒に農業してきたんでわかりますけど、
改めて農家のせがれは恵まれてるなぁって実感します。
やっぱ農業は家族経営が強いなぁって思ってます。

ちなみに、ここでいう家族経営って、家族で畑に出て農業してるのを意味してます。
これ、海外で家族経営っていうと、畑仕事、労働はスタッフにお願いしてて、
本当の意味での経営に携わっているのが家族のみって感じなんです。

で、いろいろと農家のせがれ、うらやましいポイントあったりするんですが、
今回は人、労働面に関してお話ししたいと思ってます。

この記事を読むことで

ですので、今回の内容を聞いていただくことで、農家のせがれはどれだけ恵まれているかがわかるようになりまして、その環境を武器に、家族で理想の農業を続けていく原動力となると思ってます。
ただの非農家によるひがみです。
ここからぜひとも、「実家が農業やっててよかった」と誇りを持てるようになっていただきたいです。

家の農業継いだけど、なんかパッとしないあなた、
家族で農業しててうまくいっていないと感じるあなた
にとって参考になれば幸いです。

話の流れとしては、

  • 家族で農業やるメリット(労働編)
  • 雇用した場合はどうなの?
  • 非農家のとるべき戦略は?
    でお話ししていきます。

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家族で農業やるメリット(労働編)

先に結論をお伝えしますと、

  • 融通がきく
  • 技術がある
  • 時給の概念が無い

ひとつずつ、みていきます。

融通がきく

なんでそう考えるかというと、
農業って季節労働が基本です。
自然に合わせてこちらが動かなくてはいけないので、人間都合ではいかないところがあるんですね。

具体例

「今月は忙しいから、みんな朝早く起きて夕方まで畑だよ。」
「冬になって落ち着いたから、畑出るのはお昼からでいいでしょ?」
って融通ききますよね。

もっと言うなれば、
「明後日から雨が続きそうだから、明日のうちに草刈りしちゃいたいから朝から畑やるぞ」
「収穫で朝5時から7時までの2時間だけ手伝ってくれ。」
「雨降ってきたから、もうこれで終わりにしよう」
って出来ますよね。

そんなふうに、今日は8時間働いて、次の日は半日だけ、その次の日は夜遅くまで作業って感じで、家族親族なら融通が利きやすいです。

つまり、自然の忙しさに合わせて、人間の労働量を柔軟に変えて合わせられる。
これこそ、農業は家族経営が強い理由のひとつです。

以上が1つ目の内容、融通がきく。でした。

農業は家族経営が最強なワケ2

技術がある

農業で生計を立ててきてるので、当然、栽培する技術があります。
これは体力や経験からくる勘も含めています。
ひっくるめて、家族には農業する技術があるんですね。

例えば

おじいちゃんが「この様子だと、今のうちに収穫しておいたほうがいい」って言って、
その息子さんとお孫さんも一緒に収穫すると。
そしたら、翌日がかなりの大雨で、あのとき収穫をちゃんとしておいたから
熟してた実が割れなかった。良かった。ってなるわけです。

また技術がありますので、誘引作業や草刈り作業も手際がいい。
秒で終わらせていくこともできます。

もちろん、難しい農作業もこなすので、家族の中でも心強い味方ですよね。
これは家族経営してるメリットの一つだと感じます。

以上が2つ目、技術がある。の内容でした。

時給の概念がない

もう無償のつもりで働いてくれるところです。
おそらく起業される人は時給うんぬんじゃなく、その事業を成功させようと必死になって働きますよね。
その精神です。

具体例

ハウス栽培していて、真冬の夜に雪が降るとするじゃないですか。
そしたら、予想以上に大雪、ドカ雪になりそうだと。
「このままじゃボイラー焚いてても無理だ。ハウスが潰れる前にビニールから雪を下ろさなきゃ」ってときに、家族みんなで雪おろししますよね。

あとは、
「台風が来てるから、きゅうりのアーチが倒れないように、いまから補強して暴風ネットかけるぞ」っていって、昼から夜遅くまで家族でやったり。

「今日は時間があるから、1日草むしりしとこう」っていって、おじいちゃんおばあちゃんが手がんなで草をとってたり。

みんな家族でいいものを収穫しようっていう思いでやっていて、
そのときお金が出ていかない、時給の概念なしに仕事するのは家族経営の良さだと感じてます。

以上が3つ目、時給の概念がない。でした。

まとめ

いったん振り返っておきますと、
家族で農業するメリット

  • 融通がきく
  • 技術がある
  • 時給の概念が無い

そもそも非農家からしてみたら、それらひっくるめて人がいるってのが羨ましいです。

以上がひとつめのチャプター、家族で農業やるメリット(労働編)。の内容でした。

農業は家族経営が最強なワケ3

雇用した場合はどうなの?

ここまできいて、
「いや、雇用してちゃんとした仕事として成り立たせないから、農業は儲からないんだ」
「ちゃんと定時で仕事しないとダメでしょ?」
って思われるかもしれません。

たしかにハウスの葉物野菜なら、結構同じことの繰り返しなんで出来るかもしれないですけど、一般的な露地栽培とかだと、厳しい面があると思います。

なぜそう思うのか?
それが次の2つ目のチャプター、雇用した場合はどうなの?って内容に入っていくんですが、
農業ならではの特徴があるから、雇用を難しくさせていると思うんですね。
それは次のとおり。

  • 季節労働
  • 分業できない
  • 自然災害

ひとつずつ見ていきます。

季節労働

具体的にいうと、一年中8:00-17:00の仕事体制では無理がある業種です。
先ほどもいいましたけど、忙しい時季は休み無しで働かなきゃ間に合わない。
かといって、暇な時季はとことん暇。ゆったりしてます。

例えば冬の時期を考えると、
雇用すると、仕事がない日も時間帯も、お金払わなきゃならなくなります。
やる仕事が無いのに、手伝ってもらう必要が無いのに支払うってのは無理が出てますよね。
だから会社は仕事を作らなきゃならないわけです。

ここまで聞いて、

「じゃあ、雨降ったらおしまい、とか、今月忙しいから休みなしで良くない?」
「忙しいときは朝から晩まで、ものすごく働くんだから、その分、暇な時は仕事なしでいいでしょ?」

そんな仕事したい人、普通はいません。
農業を仕事にしたい!っていう人でも、雇用されてるとなると負担がかなり大きいと思います。

なんでそう考えるか?っていうと、雇用されてるので時給が発生します。
Aさんはお金が必要なのに、「今日はこれでおしまい」とか「1週間お休みね」とか
そんな不安定だと、Aさんの収入も不安定になって農業やめて他の業種へ行っちゃいます。

こんなときも

また、こっちはプライベートな用事があるのに、休日に急に電話がかかってきて、
「急遽、草刈りするから集合ね」とか、夜中に「雪おろしするぞ」って、無理でしょ。

しまいには、「これから5:00~19:00勤務で3ヶ月間休日無しね」って、サラリーマンにとって過酷すぎますよ。
余談ですけど、これ、農業の場合、労基法違反にならないんで、なおさらたちが悪いです。
この時期の時給も、最低賃金下回ってても、年平均して下回ってなければOKなんですよね。

そんな会社で働きたいと思いますか?
いやですよね。

だから農業法人で勤めてる人で、ずっと定年までそこで勤務してる人とか未だ出会ったことないです。
無理が出てます。

家族経営の良さを実感

だからこそ、家族親族なら農業に対して、理解がある。
起業家みたいに時間とか働きすぎとか関係なく、がむしゃらに畑に出る。
だから農業が成り立っています。
家族経営は強いです。

これが1つ目、季節労働が要因で雇用が難しい。という内容でした。


分業できない

どういうことかというと、同じ仕事を一年中出来ないということです。
野菜なら、畑の耕運、マルチ敷き、育苗、植え付け、仕立て、防除、収穫、出荷と、
いろんな作業がつながってますよね。

この中のうち、「植え付けだけを毎日、専門でやります!」ってのが出来ないわけです。

くだもの農家の場合

果樹なら、剪定、授粉、摘果、防除、傘かけ、収穫、出荷とありますけど、
その季節にしか出来ないことがあるわけです。
例えば、「授粉を一年中やります!」って言ったところで、毎日春じゃないと出来ません。
剪定もすももとか基本、冬に行う作業なので、一年中は出来ません。

分業ができれば、素人の人でも、ずっとその作業なんですぐに習得して、うまくなると思います。
さらにスペシャリストになるんで、組織全体の能力は上がります。

そうはいっても

でも実際はできないし、次回その作業を行えるのは来年です。ってなると、なかなか覚えられない。
だから、雇用した人が仕事ができるようになるまで時間がかかってしまう。
作業が遅かったり、栽培技術が話にならなかったり(特に果樹)してしまう。
でもお金だけ出ていく。
雇用って難しいね。
ってなります。

工場や飲食店みたいに、同じことを一年中やれる業種ではないので、
雇用が難しかったりします。

以上が2つめ、分業できないから雇用が難しい。という内容でした。


自然災害

これが最も雇用を難しくさせてる要因、いちばんあなたが想像しやすい要因だと思います。
台風で実が全部割れちゃったり、アーチ支柱が軒並み倒壊しちゃったり、ハウスがつぶれちゃったり、そういった場合、収入の道が断たれるわけです。

でも雇用していると、その人の給料を払わなきゃならない。
でも収入がない。どうしよう…ってなりますよね。

コロナのとき

これって、コロナ全盛期のときって農業以外の業種でも経験しましたよね。
農業で食べてくのが大変っていうのと同じ理由で、
飲食店やってくのがもう限界、観光業で仕事できなくて倒産みたいに。
そんな中で、雇用しようとした人は少ないんじゃないでしょうか。
むしろ、長期休暇させとくみたいな状況だったり。
そして補助金もらったりしましたよね。

農業って毎年コロナみたいなものなので、そりゃ安定しないです。
だから雇用を難しくさせてますし、補助金ももらいます。

「いや、事情を話せばわかってくれるはずだから、給料を少なくしよう」とか
「2ヶ月間お休みにしてもらえる?」とか
通じませんからね。

農業法人は他業種で稼ぐ

だからこそ、法人は生産以外でも仕事をして経営を安定させてるところが多いです。
例えば、収穫物を直接届けていく運送業やったり、カフェとかの飲食店、農泊とかの宿泊業、くだもの狩りとかの観光業、講演会とかのスピーチ業、6次化とかの食品加工業とか。

どこまでが農業なの?って思われるかもしれませんが、人それぞれの解釈になっちゃいますけど。
大規模な農業生産法人を見てても、必ずどれか手をつけてます。
農業生産のみでやってるところ、見たことないです。

その点、家族に対しては仕事休みにするとか堂々と言えるじゃないですか。
農業に対して理解があるからこそ、農業する上で家族経営は強いって感じます。

以上が3つめ、自然災害が雇用を難しくさせている。っていう内容でした。

まとめ

話をまとめると、
雇用した場合はどうなの?
難しい。なぜなら、

  • 季節労働
  • 分業できない
  • 自然災害

もう最低限、農業に対しての理解があることが条件だと思います。

農業は家族経営が最強なワケ4

非農家のとるべき戦略は?

以上が、農業は家族経営が最強って内容でしたが、ここから深掘りしようと思いますが、
ここまで聞いて、特に非農家目線からいくと
「もう農業する上で、絶好な環境が整っててうらやましい」って
思いますよね。

例えば、一人で農業始めた方ならそもそも人がいるってだけでいいなって思います。
それでいて、農家のせがれ以外に3、4名ぐらい居て、技術と理解があって、
農作業の融通がきいて、もう最高じゃないですか。

こう考えてくと、「じゃあ、非農家はどうしたらいいんだろう…?」って
思いますよね。
それが次の最後の3つ目のチャプター、非農家のとるべき戦略は?っていう内容に入っていきますが、労働に関していえば、
結論としては、

  • 畑のスケールをわきまえる
  • 知人を頼る
  • 季節雇用から始める
    です。

理由

畑のスケールをわきまえるっていうのは、

一人で農業やってる場合、もしくはご夫婦で新規就農する場合には、農業への理解がある、融通がきく、時給の概念が無いって人は一人、もしくは二人じゃないですか。
その範囲内で、畑を回していくことがまずは大事かと思います。
これが基本です。
農家さん家族4人がやってる畑の面積を、1人だけでまわすのは
普通の人だと無理があります。

知人を頼るのは

もう、理解がありますよね。
農業に対してではなく、あなたに対して理解がある。
もちろんお礼はするけれとも、ほぼ無償で働いてくれる。
そこはどんどんお願いしちゃいましょう。
僕も就農当時は知人をこき使ってました。
しまいには売りつけてました。
知人に頼りましょう。

季節雇用から始める。

というのは、忙しいときのみの雇用ですので、
猫の手も借りたいぐらいなんで、絶対的に手数が必要なときです。
そこに技術や理解はそれほど求めません。
遅くても、やってくれるだけで大助かり。
たとえ、その品目が失敗しても売上が立たなくなっても、
ダメージは通年雇用よりも圧倒的に小さいです。
季節雇用から始めましょう。

人が手伝ってくれることが、どれだけありがたいことかが身にしみてきます。

終わりに

いかがでしたか?
こんな感じで、農業にプラスになりそうなことをコンテンツにしています。
あなたにとって、僕のこれまでの学びや経験、考えが参考になれば幸いです。

それではまた別のコンテンツでお会いしましょう。
終わります。 

「もっと、農業に夢中になっちゃおう。」
みなさんに、もっと、農業に夢中になっていただきたい想いで、
いろんな農業に関する情報発信をしています。
【ゆびあぐり】のSNS一覧
https://lit.link/yubiagri

ご覧いただきまして、ありがとうございました。

written by 農業、始める

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