【収穫できない…】どうして実の成熟が進まないの?
真夏の時期に、果物が熟さない・成熟が進まないと悩んでいませんか?
自分もお取引先様に、「8月の3日ごろ収穫できます」と言って予定を組んだのに、 そのときになってみると「あれ?まだガッチガチ…」という経験があります。
やっぱり、気温が上がると収穫できる量が増えると思いますよね。
でも、実はそうではありません。
暑すぎると、果物は熟さなくなるのです。
では、どうして暑すぎると熟さなくなるのでしょうか?
その理由は、エチレンガスというものにあります。
目次
エチレンガスとは?
エチレンガスは、野菜や果物などが分泌する植物ホルモンの一種で、 自分の実の熟成を促す働きがあります。
リンゴが赤く色づいたり、バナナが柔らかくなったり、桃が甘くなったりするのは、 エチレンガスのおかげです。
つまり、このエチレンガスが放出されるから、実が熟すのです。
しかし、35度以上の高温になると、エチレンガスが放出されにくくなります。
だから、実が熟さないのです。
エチレンガスが放出されないとどうなる?
エチレンガスが放出されないと、果物の実は以下のように変化します。
- 硬いまま
- 甘くならない
硬いまま
熟すと実は柔らかくなりますよね。
この柔らかくなるのは、ペクチンという細胞間物質が分解されていくからです。
ペクチンは細胞と細胞の間にあって、果物の形を支えています。
これがエチレンガスに反応することで分解します。
しかし、エチレンガスがなければペクチンは分解されません。
形を維持したままです。だから硬いままです。
甘くならない
ペクチンは分解されて糖分に変化します。
だから、果物は熟すと甘くなります。
でもエチレンガスがなければペクチンは分解されません。
糖分に変化しません。甘くありません。
これは桃の調査でも明らかになっています。
岡山県の研究によると、「清水白桃」の果実は満開100日後(成熟10日~20日前)から35度以上の高温に長時間遭遇すると、果実のエチレン生成が抑制されて成熟が遅延することがわかりました。
ここで重要なのは、収穫目前の時期でそういった現象が起こることです。
暑すぎると果物が熟さない対策
では、暑すぎると果物が熟さないという問題に対して、どうすればいいのでしょうか?
西日本のモモ生産安定のための果肉障害対策技術の開発というプロジェクトから、以下のような対策が提案されています。
高温を抑制できる機能性果実袋(オレンジ)
これは、赤外線を効果的に遮断する機能を持つ酸化チタン(JR-1000)を慣行の果実袋に表面塗布(ドット印刷)した新しい果実袋です。
通気性を保ちながら、これまでにない高温抑制機能を持っています。
岡山県の桃農家さんは、この果実袋を使ってみた感想をこう話しています。
「普通の袋よりも温度が下がっているのがわかります。熟成も遅れずに収穫できました。色づきも良くて、品質も良かったです。」
このように、高温を抑制できる機能性果実袋は、暑すぎると果物が熟さない問題に有効な対策の一つです。
終わりに
いかがでしたか?
今回は、なぜ暑すぎると果物が熟さないのか?その理由と対策を解説しました。
暑すぎると果物が熟さない理由は、エチレンガスという植物ホルモンが放出されにくくなるからです。 エチレンガスは、果物の実の熟成を促す働きがありますが、35度以上の高温になると抑制されます。 その結果、果物の実は硬くて甘くならないままになります。
こんな感じで、農業にプラスになりそうなことをコンテンツにしています。
参考になりましたら幸いです。
【参照元】
「もっと、農業に夢中になっちゃおう。」
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https://lit.link/yubiagri
ご覧いただきまして、ありがとうございました。
written by 農業、始める