直売所の仕組みで忘れてはいけないこと
「直売所に出荷してみても、売れ残ったらどうしよう?」
「どういうところがメリットなんだろう?」
って思いますよね。
自分も就農当時、ちょっとだけ直売所に出荷したことがありましたけど、やっぱ最初のお願いするところでさえ緊張しますよね。
どれだけ売れるのか心配ですし。
現在も直売所的なところに出荷してます。
その中で店舗さんから「〇〇を出荷してもらえますか?」って要望が来るようになったりします。
嬉しいじゃないですか。
でもそこに舞い上がって、出荷したら痛い目にあった経験があります。
ですので、今回の僕の体験談から直売所に出荷するときに忘れてほしくないこと、損しないようにするためのヒントになればと思ってます。
「こんなんじゃ、直売所に出荷しなければよかった…」ってならないように。
直売所に出荷しようかお悩みのあなた、
実際に直売所で販売して売れるのか不安なあなた
にとっても参考になれば幸いです。
目次
直売所の仕組みで忘れてはいけないこと
直売所に出荷してみて気をつけておきたい、損しないように覚えておきたいことを挙げてみました。
それが次のとおりです。
- 売れた分だけ売上(1つめ)
- 価格競争(2つめ)
- すでに出荷者がいっぱいで出荷できない(3つめ)
- 手数料はJAと大差ない(4つめ)
- 商品にしなきゃならない(5つめ)
- 自ら宣伝(6つめ)
- 量がさばけない(7つめ)
こんなにあるの?って思われるかもしれませんが、あとでお伝えしますが、それを逆手にとってメリットに変えられるところも多いので、まずはネガティブな目線で考えてみました。
売れた分だけ売上(1つめ)
一番これが直売所の特徴だと思います。
当たり前すぎることですが、僕はこれで失敗した経験があります。
これまでJAへ出荷、取引先へ出荷、個人へ出荷を経験してきた身としては、
出荷したらすべて売上になる
のが当たり前でした。
しかし直売所は売れた分だけ売上になるので、売れなかったら一銭にもなりません。
逆にマイナスだけです。
店舗とのやりとりにて
僕が経験したことです。
とある店舗から「○月△日にイベントを行うんで、あんぽ柿を100パックほしい」と連絡が入りました。
いつも20パックぐらいを定期的に出荷してたんで、その5倍です。
連絡が入るぐらいなんで、「きっとそれだけ売れる見込みがあるんだ!」っと思い、嬉しくなって納品日に出荷しました。
データベースを見てみると
最近の直売所はいつ、どれくらい売れたか?を確認できるようにwebページやアプリがあったりします。
僕も数日後、「発送したあんぽ柿100パックはどれくらい売れたのかな?」って思い、確認しました。
そしたら、普段とかわらない数量の20パックしか売れてませんでした。
その後、値引きもされたりしても結局売れなかったのが70パック近く。
かなりショックでした。
そこで気づきました。
「直売所側は何も損していないんだ」と。
直売所は売れなかったら何も痛手にはなりません。
売れたらその分、手数料をとっておしまいなので、その仕組みにまんまとやられました。
これがすべて直売所が買取ならば、販売する側も売れるように頑張りますけど、そうではありません。
たしかに生産者からの信頼は失いますけどね。
なので、あらためて直売所は「売れた分だけ売上になる」ということを忘れちゃいけないなと思いました。
価格競争(2つめ)
同じ農産物がそこに並ぶと、まず必ず価格競争が生まれます。
生産者としては「全部売りたい」ので、一番簡単にできる値下げが起きます。
すると他の生産者も、「さらに下げなきゃ!」ってなってどんどん価格が落ちます。
お客さんからすると嬉しい限りですし、直売所側は何もしなくても売れる仕組みが出来上がってます。
もちろん直売所としては、高く売れた方が手数料も多くなりますので、高い値段のほうがいいですが、
小売業は基本、薄利多売なので、「とにかく数を売る」ほうに偏りがちです。
その一方で、直売所側も生産者を守るために行ってる施策があります。
それが次の3つめの話です。
すでに出荷者がいっぱいで出荷できない(3つめ)
既存の出荷者が多くて、新規は受け付けないことがあります。
「あそこの直売所はたくさん売れるよ」
って聞きつけて、販売したい旨を伝えても、
「もう桃を出荷してる農家さんが多いから、受付できないです」
って言われることもあります。
手数料はJAと大差ない(4つめ)
直売所がそこまで少なかったとき、
「手数料が安いから」と言う理由で出荷してた農家さんがいました。
それを聞いて「僕も出荷しよう!」ってやってみたら案外高かったりします。
もろもろ合わせるとJA出荷と対して変わらず、その上直売所は全量買取ではないので、
売れなかったときのリスクを考えると、二の足を踏んでしまいます。
「ならむしろJA出荷ですべてお金にかわったほうがいい。出荷も楽だし。」
って発想になって直売所から離れる人もいました。
商品にしなきゃならない(5つめ)
袋詰め、パック詰めの作業が必須です。
JA出荷や取引先へ出荷の際、バラ詰めをされている方はかなりハードルが上がります。
僕はすもも農家なので、JAはパック詰めでしたが、
取引先へはバラ詰めにしました。
そうしたら、ちょうど出荷作業が1/2になってかなり楽になったのを覚えています。
自ら宣伝(6つめ)
POPを書いたり、宣伝文句をつけたりして、お客さんにPRすることも必要になってきます。
しなくても問題ありませんが、直売所へ行ってそういったPOPがあるとやはり目がいきます。
それこそ価格よりも、「どういったものなのか?」に惹かれるお客さんはそのおかげで高い価格であっても
ご購入してくださると思います。
量がさばけない(7つめ)
ひとつの店舗で売れる量は限られてます。
たくさん収穫できてしまって、大量に直売所へ出荷したところで売れ残ってしまうリスクがあります。
もちろん、ありえない量が毎日売れていく大人気な直売所もあったりします。
まとめ
いったん話を振り返っておきますと、
直売所の仕組みで忘れてはいけないこと
それが次のとおりです。
- 売れた分だけ売上(1つめ)
- 価格競争(2つめ)
- すでに出荷者がいっぱいで出荷できない(3つめ)
- 手数料はJAと大差ない(4つめ)
- 商品にしなきゃならない(5つめ)
- 自ら宣伝(6つめ)
- 量がさばけない(7つめ)
そうはいっても
ここまで聞いて
「直売所に出荷するメリットってどこにあるんだろう?」
「いいところあるの?」
って思われるかも知れません。
物事をネガティブに見えても、見る角度を変えると逆にメリットになりえたりします。
そこを逆手にとって、上手いやり方を実践できると考えてます。
それが「ブランディング」です。
ファンになってもらう入り口づくり
自ら宣伝だったり、商品にしなきゃならないといったところは逆に言うと、
こちらでブランディングできるところです。
なので、価格競争に巻き込まれないようにする、ファンになってもらうためのきっかけづくりが直売所でできるかと思ってます。
「こういう農園でやってますよ」
「こういう栽培してますよ」
「こんな味がしますよ」
ただ、やはり真似されたり、似たり寄ったりだとあまり魅力的なものでは無くなります。
その中で最も真似されにくく、差別化しやすいことがあります。
それが「あなた自身」です。
「こういう人が栽培してますよ」というところを全面に押し出すと、全く同じ人がこの世にいないように差別化しやすくなると思ってます。
やはり顔が見える生産者というのは強く、人はどこかしら透明性だったり背景のストーリーに惹かれるところがあります。
なんで?
その理由は信頼したいからにつきます。
知らない人よりも、知ってる人の話を信用するのと同じことで、
親近感がある人からのほうが信用度はあります。
そうはいっても
PR、宣伝したとして、信頼してもらおうと思っても、絶対になくてはならない前提条件があります。
それが定期的に出荷です。
なるべく常にそのお店にある状態だからこそ、お客様が行くたびに目に入ってきて親近感、信頼度があがります。
地味なことですが、このことがかなり重要だと思ってます。
終わりに
いかがでしたか?
こんな感じで、農業にプラスになりそうなことをコンテンツにしています。
あなたにとって、僕のこれまでの学びや経験、考えが参考になれば幸いです。
それではまた別のコンテンツでお会いしましょう。
終わります。
「もっと、農業に夢中になっちゃおう。」
みなさんに、もっと、農業に夢中になっていただきたい想いで、
いろんな農業に関する情報発信をしています。
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ご覧いただきまして、ありがとうございました。
written by 農業、始める