いろんな農業ごとの収入を比較してみよう。
みなさん、農家の収入、経営収支って実際どれくらいなのか気になりませんか?
「農業では食べていけない」とか「農業を継がせたく無い」といった言葉があるくらいですから、
「きっと少ないんだろうなぁ…」って思うかもしれません。
これまで果樹農家(すももメイン)として専業で仕事をしていく中、他の農業形態だとどんな経営収支なんだろうと疑問に沸いたので、調べてみました。
すると、農林水産省がデータを公表していたので、僕なりにまとめてみました。
まず、農業の種類と農家の種類を説明したのち、売上、経費、所得の平均を種類ごとにご説明します。
目次
農業の種類は?
ひとくちに農業といっても、いろんな種類があります。
例えば、
- 水田作経営
- 畑作経営
- 露地野菜経営
- 施設野菜経営
- 果樹経営
- 露地花き経営
- 施設花き経営
- 酪農経営
- 繁殖牛経営
- 肥育牛経営
- 養豚経営
- 採卵養鶏etc
まだまだありますが、一部だけ抜粋しました。
農家の種類は?
農家さんの形態もいろいろですが、大体これだけ覚えておけば大丈夫です。
- 専業農家(せんぎょう)
- 兼業農家(けんぎょう)
- 自給的農家(じきゅうてき)
専業農家(せんぎょうのうか)とは?
世帯員の中に兼業従事者が1人もいない農家のこと。つまり、生活費はすべて農業の収入だけで賄っているプロ農家です。本気で稼ぎにいってます。
兼業農家(けんぎょうのうか)とは?
世帯員の中に兼業従事者が1人以上いる農家のこと。もっと簡潔に言うと、農業以外で仕事もしてることです。
農業の収入以外にも、他の仕事の収入がある農家のことですね。
この兼業農家さんにも、また2つに分かれます。
第1種兼業農家とは?
農業所得を主とする兼業農家のこと。つまり、所得の半分以上が農業の収入で、残りが他の仕事での収入の農家のことです。
第2種兼業農家とは?
農業所得を従とする兼業農家のこと。つまり、他での収入が半分以上で、残りの収入は農業から得ている農家のこと。
さきほどの第1種兼業農家とは、真逆ですね。
自給的農家(じきゅうてきのうか)とは?
経営耕地面積が30a未満かつ1年間の農産物販売金額が50万円未満の農家のこと。
つまり週末農家だったり、家庭菜園やってて「ちょっと多く収穫できたから直売所にでも…」というかたも含まれます。
補足ですが、日本の農家さんはこの第2種兼業農家が大半を占めていて、次いで第1種兼業農家、そしてプロの専業農家の数は本当に少ないです。
以上、いろんな農業形態、農家形態をすべてひっくるめて1経営体あたりの平均した値です。
全国の農家の平均売上、経費、所得は?
全農業経営体
- 売上 1,076.9万
- 経費 951.5万
- 所得 125.4万
- 耕地面積 366.9a
です。
これが農水が取りまとめた、令和3年のデータです。
これとは別に「主業経営体」というカテゴリーもありまして、
この主業経営体とは、 農業所得が主(世帯所得の50%以上が農業所得)で、調査期日前1年間 に自営農業に60日以上従事している65歳未満の世帯員がいる個人経営体のことを言います。
つまり、本気で稼ぎにいってる農家さんのことですね。
主業経営体の農家の経営収支は?
主業経営体
- 売上 2072.3万
- 経費 1,638.8万
- 所得 433.5万
- 耕地面積 683.4a
です。
ちなみに売上には、「作物」と「畜産」と「補助金」の金額が入っています。
それじゃ、あまり当てにならないですよね。
「もっと、どんな農業がどれくらいの売上、所得なのかを知りたい。」と思いませんか?
ということで、品目ごとにもっと詳しくみていきます。
農業の品目ごとの売上、経費、所得は?
水田農家の収支
- 売上 350.3万
- 経費 349.3万
- 所得 1.0万
- 耕地面積 252.8a
※R3に限っては所得が下落しすぎ。前年は所得17.9ありました。
畑作農家の収支
- 売上 1,317万
- 経費 1049.7万
- 所得 267.3万
- 耕作面積 555.7a
水田:稲、麦類、雑穀、いも類、豆類、工芸農作物の販売収入のうち、水田で作付け
した農業生産物の販売収入が他の営農類型の農業生産物販売収入と比べて最も多
い経営のこと。
畑作:稲、麦類、雑穀、いも類、豆類、工芸農作物の販売収入のうち、畑で作付け
した農業生産物の販売収入が他の営農類型の農業生産物販売収入と比べて最も多
い経営のことです。
露地野菜農家の収支
- 売上 1083.4万
- 経費 899.9万
- 所得 183.5万
- 耕作面積 168.5a
施設野菜農家の収支
- 売上 1738.6万
- 経費 1368.3万
- 所得 370.3万
- 耕作面積 45.6a
果樹農家の収支
- 売上 730.3万
- 経費 518.0万
- 所得 212.3万
- 耕作面積 95.1a
露地花き農家の収支
- 売上 884.8万
- 経費 687.4万
- 所得 197.4万
- 耕作面積 69a
施設花き農家の収支
- 売上 2211.3万
- 経費 1789.1万
- 所得 422.2万
- 耕作面積 42.9a
酪農農家の収支
- 売上 9107.8万
- 経費 8372.0万
- 所得 735.5万
- 経営規模 66頭
繁殖牛農家の収支
- 売上 1851.7万
- 経費 1639万
- 所得 212.7万
- 経営規模 27.8頭
肥育牛農家の収支
- 売上 12,898.9万
- 経費 12,518万
- 所得 380万
- 経営規模 198頭
養豚農家の収支
- 売上 25,982.3万
- 経費 24,625.9万
- 所得 1,356.4万
- 経営規模 3,344.8頭
採卵養鶏農家の収支
- 売上 33,274万
- 経費 31,438.9万
- 所得 1,835.2万
- 経営規模 87,662羽
伝えたいこと(結論)
この売上、所得の数字だけにとらわれないでください。
というのも、
みなさんの中には、売上に対して所得がどれくらいか?の利益率を見たり、
単位面積に対して所得がどれくらいか?の生産性を見たりするかもしれません。
しかし、聡明なみなさんならお気づきですが、
「初期投資はどれくらいか?」
「人手は確保できるのか?」
なによりも「仕事内容はどうか?」を見てみるといいと思います。
仕事内容をちゃんと調べよう
これどういうことか?というと
ハードすぎる力仕事は厳しかったり、
いくら機械化されてても、腰を痛めやすかったりする場合もあります。
例えば、くだもの農家は、手が土で汚れることがまずありません。
土まみれにならないんですね。
一方で、くだものは技術がいります。職人作業。
また、植え付けてから実がなるまで何年かかかります。
こういったソフト面を考えることが大事です。
どんな農業を選べばいいのかな?
「じゃあ、自分は何が向いているのか、よくわからない…」と思われるかも知れません。
最終的には、自分のやりたい気持ち次第かと思ってます。
「これやりたい!」っていう勢いは何事も大切です。
「でも、それがあまり稼げない農業だったら?」と不安になるかと思いますが、
そう言った場合は自ら、作業を考えて効率化してみてください。
国が出したすももの労働時間のデータで、10aあたり259hでした。
一方で、僕の就農当時の10aあたりを計算したら、172hでした。
34%削減されていて、これが就農当時でしたので、効率を求めていった次年度以降は、
労働時間は国の数値の半分にはなっていると思います。
労働時間が半分になれば、できる面積が2倍になり、所得も2倍。
やりたい農業で生活できるなんて、すてきな人生だと思います。
終わりに
いかがでしたか?
こんな感じで、農業にプラスになりそうなことをコンテンツにしています。
参考になりましたら幸いです。
もっと、農業に夢中になっちゃいましょう。
みなさんに、もっと、農業に夢中になっていただきたい想いで、
いろんな農業に関する情報発信をしています。
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ご覧いただきまして、ありがとうございました。
(参照)
・令和3年 農業経営体の経営収支